エピソード95:救急車

  この気候のせいか、最近救急車が多いような気がする。高知市東部のT須地区、そのさらに東にある「S木東」という地区が、私の住むトコロ。昔はよく子どもたちが、道路でボール遊びなどをしていた。それが今やどうだ。たまにお年寄りが手押し車をついて歩いているくらいで、道を歩く人はほとんどいない。道路で遊んでいる子どもの姿だって、とんと見かけない。この町内、ホントに人が住んでるのかとさえ思う。だが、このゴーストタウンのような町に人を集める秘技(?)がある。それが「救急車」だ。

 遠くから救急車のサイレンが近づいて来る。サイレンが段々大きくなり、止まった。すると、どこからかギャラリーがわらわらとわいてくる。大半が高齢の女性で、なぜか男性陣は少ない。この前の騒ぎもそうだった。他所の家の庭に入ってまで見物しているおばさまもいる。おしゃべり好きのT野さんなど、帰宅途中に偶然見かけた救急車をわざわざ引き返してまで見に来ている。我が父は入浴中だったが、裸で出て行こうかと思ったそうだ。その野次馬根性はどこから来るのかと問うと、「好奇心」とのこと。…父は長生きすると思う。ちなみにその後、T野さんから一部始終を聞いたのは、他でもない父だ。

 それこそ救急車といえば、以前家のすぐ南の通りに停まったことがあった。想像に憶測を重ねた結果、「あそこの◯◯さんが亡くなった」という結論に至った。もちろん父は「様子を見に行く」と散歩のフリをして出て行ったし、私もその家の前を通る時は、わざとクルマのスピードを落として覗き込んだ。あの庭のクルマは帰省した息子さんのに違いない。そこまで確信していたある日のこと。なんと◯◯さんが、庭にあったクルマに乗り出かけようとしているではないか!どうやら私たちの推理(?)は間違っていたらしく、通りを一本勘違いしていたらしい。これもまた、後に聞いたT野さん情報。

 なんだかうかつに救急車を呼べない町内である。せいぜい健康には気を使って、事故や怪我に巻き込まれないよう気をつけねば。そう固く誓った年の始めであった。

 


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