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エピソード72:輪抜け様

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  暑い。ひたすら暑い。朝から滝のように汗が流れ落ちている。なぜワタシひとりだけこんな滝行を積んでいるのか?しかも身体からは濡れた雑巾のようなニオイまでするし。若い女性からは桃のような良い香りがするというのに(←実証されたらしい)。 … まぁワタシからは若い時でも乾いた手拭いの臭いしかしなかっただろうけど。  今年はいよいよから梅雨だった。さっぱり雨が降らない。例の大川村の旧庁舎、屋根が見えてきたそうな。高知県人は(香川・徳島もか?)早明浦ダムの貯水量がいよいよ気になる。旧庁舎の屋根が見えてきたと聞けば、見に行かずにはいられない。ダムの干上がり具合を確認したところで雨が降るわけではないのだが、何年かに一度は旧庁舎の出現がニュースになる。嗚呼、私の滝汗を分けてあげたいよ。  ところで、もうすぐ「輪抜け様」である。輪抜け様、難しく言えば「夏越しの祓」。大きな茅の輪を 8 の字にくぐって厄除けや無病息災を願うこの行事を、高知県では輪抜け様と呼ぶ。さて、この輪抜け様。ジンクスとして有名なのが「輪抜け様の日には雨が降る」というもの。ただ単に梅雨の真っ只中である 6 月 30 日に行われるから、雨が降る確率が高いだけかもしれない。けれど言われてみると、輪抜け様と雨降りはセットになっているような。ぬかるみの中、茅の輪くぐりをした思い出が多い気がする。それはそうとこの茅の輪くぐり、今まで何十回となくくぐっているのに、全くくぐり方を覚えていないのはどういうことでしょうね ⁉︎ 毎年張り紙を確認して、ああそうだったと納得するのが恒例。  境内では夏祭りに及ばないながらも、夜店が出ているのがお楽しみ。夜、暗くなっても大っぴらに外を歩けて買い物出来るなんて、子ども心にすごくワクワクしたものだ。おこづかいの 500 円玉を握りしめ、何を買おうか夢中で物色した。大人になっても、夜店は胸の奥のワクワクを呼び覚ます不思議な魅力を持っている。今年の輪抜け様は雨が降るだろうか。もう一つ、高知の言い伝え。「高知の夏は輪抜け様で始まり、しなね様で終わる」。いよいよ夏が、やって来た!

エピソード71:チョコミント

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  夏になると、チョコミント味の製品が出始める。このワタシ、結構な「チョコミン党」である。爽やかな水色のパッケージに包まれたミント風味の新商品を見ると、買わずにはいられない。実は今も、キットカットのミント味をかじりながらコレを書いているのだ。口の中に広がるスーッとした心地良さ、たまらんね~♡しかし、世の中にはチョコミント味が嫌いだという種族(?)もいるんだな。彼ら彼女ら曰く「えー、チョコミントぉ?歯磨き粉の味やんか~」。 … っていうか、そんなキモチノワルイことを考えるから食欲が減退するんじゃないか(呆)。  ところで、このチョコミント味。地域によって好き嫌いに差があるらしい。なんでも、西高東低で西日本がチョコミント嫌いの割合が高いそうな。ちなみに「チョコミント味のアイスが好きか」というアンケートの結果(アットホーム調べ)によると、日本で 1 番チョコミントが好きなのは北海道と宮城らしく、「はい」と答えた人の割合が過半数の 54.8 %だそう。そして「はい」の割合が最も少なかったのが、なんと大阪と高知の 9.7 %。ムムッ、高知県人はチョコミントが嫌いなのか ⁉︎ そういやあたしゃ大学生になるまで、チョコミント味を食べたことが無かったぞ。大学(注:宮城県です)に行って初めてチョコミントの洗礼を受け、その美味しさに目覚めたんだが。ん?アンケートの結果と矛盾無し ⁉︎  それにしても、なんか子どもの頃もチョコミント味を食べたような気がするんだけど … 。そうだ、「ココアシガレット」だ。駄菓子屋の「いのさんく」で買った、紺色の小箱。ガリっとかじったそれは、ココアとハッカがミックスされた柔らかな風味だった。チョコミントがまだ一般的ではなかったあの頃、涼しいハッカの風味はすごく大人の味に思えた。カランカランと音が鳴る缶入りドロップの白いハッカ味だって、子どもが食べてはいけないような気がしてた。何の抵抗も無くミントの清涼感を受け入れている今の自分は、はたして子どもの頃に思い浮かべていたような大人になれているだろうか?

エピソード70:東京

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  生粋の田舎生まれ田舎育ちのこのワタシ。当然のことながら、都会は大の苦手である。何が嫌かって、人の多さから独特の喧騒まで全てが恐ろしくてたまらない。そうなのだ。「都会=怖いところ」というイメージが染み付いていて取れないのだ。  初めて東京に行ったのは、高校の修学旅行だった。観光バスの中から見た東京のコギャル(死語)の姿は忘れられない。テレビで見たのと同じ姿の茶髪&ミニスカ&ルーズソックスで歩いている!彼女らはこちらを見て笑顔で手を振ってくれた。見かけと違って(?)実にいい人達ではないか。 … ただ単に田舎者丸出しのウチらが珍しい見せ物に見えただけかもしれんが。  その夜は新宿のビジネスホテルで一泊。あの新宿ですよ新宿。しかも初めてのビジネスホテル。さらに運良く 1 人部屋。ユニットバスの使い方を予習しておいて良かった♡東京のど真ん中にあるホテルにひとりでいる自分 … !高校生当時の私にとっては人生最大級の出来事である。親戚一同皆にこの経験を吹聴しまくりたくなったものだ。  翌日はいよいよ修学旅行最大のイベントであるディズニーランドへ。行く前に「ミッキーさんの毛をお土産にむしってくる」と豪語していた私。残念ながらミッキーさんには会えずじまいだったが、見るもの聞くもの全てが珍しく、夢の国を堪能したのを今でもはっきりと覚えている。修学旅行から帰った後は、東京へ行って来たというだけでものすごい自分が都会人になったような気がした(単純か ⁉︎ )。  あれから 25 年。その後東京へは何度も訪れた。ある時は飛行機、ある時は夜行バス。 … もっとも夜行バスは一回きりで懲りたけど。今となってはだだっ広い羽田空港の動く歩道をずかずか歩いていようが、歌舞伎町脇の雑多な界隈をすり抜けて行こうが何とも思わない。高校生の時感激した新宿のビル街にあるカフェでひとりモーニングしても、高知の日常と変わらない感覚だ。これが大人になったということだろうか?あの瑞々しかった感性、今いずこ … 。

エピソード69:土佐茶

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  高知県は知る人ぞ知るお茶の名産地である。有名なのは仁淀川町とか津野町とか。「満天の星大福」なんて、時々無性に食べたくなりますね。日本茶だけではなく、野草茶の種類も豊富なのが嬉しい。メジャーなのは、ハブ茶にキシ豆茶かな。あの香ばしさがたまらんのよ♡弟はキシ豆茶を飲んでしみじみと「おばあさん家の芝生を思い出す」なんて呟いておった。香りと記憶は密接に結び付いているのだと実感した一コマ。  アラフォー過ぎると自分の健康が気になりだすのは、世の中の常なんかね?このワタシも身体のアチコチにガタが来始め、こりゃいかんと思うようになった。そこで目をつけたのが、野草茶。ふと覗いた産直市でお茶の袋が山積みになっているのを見て、ひらめいた。お茶は毎日必ず飲むものだ。自然に恵まれた高知県、野草茶も豊かにあるではないか。しかも百円玉 2 個とほんのちょっとで手に入る。とてもリーズナブルでコストパフォーマンスも良い。なにしろ、地元のお婆(だと思う)が丹精込めてせっせと作ったお茶だ。お婆のパワーも入ってそうではないか。こうして買ったのが、クワ葉・ビワ葉・ヒトツイモ・イタドリ・ドクダミ・ヨモギの 6 種類。箱いっぱい買ったけど、たったの 1400 円也。ネットで調べると、高血圧に糖尿病、便秘などに効果があるそうな。香りをかいだだけでも、いかにも効きそうである。こりゃ楽しみですね ♪  ところでペットボトルが一般的になる前のこと。汽車(注: JR です)に乗ってお弁当を買った時に付いてくるお茶の容器、覚えてる人いますかね?柔らかいプラスチックの容器に針金みたいな取手がついた、駅でしか買えないお茶。おそらく覚えているのは私たち世代が最後だと思う。お茶を買うという行為自体、一般的では無かったような。昭和生まれのワタシはいまだにペットボトルのお茶を買うのに勇気がいるぞ。高知のお婆が作る野草茶を嗜む世代も、私たちが最後になるんだろうか?心に誓う、土佐茶の灯は消さんぞ!