エピソード94:2023年

  新しい年になった。2023年である。子どもの頃に想像していた西暦2020年代といえば、車は空を飛び、ボタンひとつで食事が出て来て、人々はピタピタのスーツを着ていた。父親世代にとっては「鉄腕アトムの時代」である。しかしあのアトム、実は黒電話を使っているのだ。結構アナログだぞ。まあ今だに車は地上を走っているし、食事は一から作らねばならぬ。道行く人は誰もピタピタのスーツなんて着ていない。なんか想像していた未来と違うのが残念(?)だ。

  ところで、我が家にはK知新聞社発行の「1989 FLYING TOSA 平成元年の土佐を飛ぶ 高知県航空写真集」という、立派な本がある。1989年。今から30年以上も昔の写真集だ。だが、これが実に面白く興味深い内容なのである。ずっと持っていると筋肉痛になりそうな巨大な本(新聞紙サイズ)で、細かな所もよく見える。この30年間の移り変わりが手に取るように分かるのだ。

  まず驚かされるのは、潮見台ニュータウンや十市パークタウンに、住宅が全くないこと。土がむき出しである。あれ、そんなに最近の住宅地だったのか!?それから街中の様子。なんと中央公園が造成中ではないか!生まれる前からあそこは公園だと思っていた。さらに目を凝らしてよく見ると、今はもう存在しない建物や会社がそこここに。「ニチイ」「高知西部」「山一証券」…。極めつけは、「グリーンピア土佐横浪」。“国民休暇県構想の中核として、総合リゾート・レクリエーション施設としての期待を集める大規模保養地”との注釈が。…なんかもう泣けてくるね。

 他にも卸団地が田んぼばかりだったり、昔の高知駅がそのまんま見えたり。当然駅の裏はなんだかゴチャゴチャした荒れ地のある住宅地が広がっている。私の中でボロい高知駅の記憶はもうほとんどないなぁ。うっすら高架橋から、汽車を見るのが面白かった思い出があるくらい。そういえば昔、とでんの高知駅前の電停は、くねっと曲がった所にありましたよね?あそこにあったヤシの木はどこに行ったんだろ。30年後の高知は、はたしてどんな風景を見せてくれるのか。未来に希望を持って、本年も八彩帖をどうぞよろしくお願いします!



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