エピソード89:芋けんぴ

  つい先ほど、某ケンミンあるあるテレビ番組で、「高知県民は芋けんぴを熱愛している」という放送があった。まあだいたいあの手の番組は面白おかしく大げさに話を盛るとしたもんだ。別に芋けんぴが嫌いな訳じゃないが、生粋の高知県民であるワタシだって、どちらかというと芋けんぴよりは大手製菓メーカーの「じゃ◯りこ」の方が好きだぞ(おっと)。

  しかし、芋けんぴが身近であることには違いない。S谷食品にY山食品、N国製菓にK知食品等々、どこのメーカーがどんなブランドを展開しているのか、高知県人ならすぐ頭に浮かぶ。卸団地にあるI屋金次郎なんて、いつ見ても行列だ。ガイド本に紹介されてるんだろう、県外観光客と思しき人々が、もはや芋けんぴとも思えないオサレスイーツを口に運んでいる。わたしゃあまりのオシャレさに、隣のジーンズファクトリーと間違えて入りそうになったくらいだ。

  それにしても芋けんぴは、大変にけしからん食べ物である。一旦袋を開けてしまうと、やめ時が分からない。あと1本で終わりにしようとか思いつつ、気がつくと恐ろしい量を食べている。その後に、尋常ならざる胸焼けと腹痛が来るのがワタシの体質(要約:ただの食べ過ぎ)。そのせいで「芋けんぴは一回につき50gまで」という「芋けんぴ禁止令」まで出された。むうぅ、実にけしからん!

  ところで、芋けんぴは手間はかかるが手作りもできる。子どもの頃土佐清水市に住んでいた時、Mちゃんという女の子と仲が良かった。そのMちゃんのお母さんが作る芋けんぴが絶品で、胃もたれも起こらず食感も良く、いくらでも食べられた。しばらく交流が続いて、絶品芋けんぴも毎年のように楽しめたのだが、いつ頃からか連絡が途絶えてしまった。

  今だにあのMちゃんのお母さんが作る芋けんぴを超えるものに出会ったことはない。作り方とか聞いておけば良かった。もう少し私が歳を取ったら。芋けんぴを手作りするお婆になってやるぞ!



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