エピソード57:ファミレス

  先日のこと。鏡川大橋のたもとを通りかかると、いつか入ろうと思っていたステーキガストが跡形も無くなっている。そういや知寄町のビッグボーイも更地になってたぞ。近所のガストもいつの間にやら丸亀製麺に取って変わられたし。なんでひいきにしてる店は潰れるのかね⁉︎この現象、名前を付けたいのは私だけ?

 さて。昔須崎市に、「ベアーズ」というファミレスがあったのを覚えている人はいるだろうか。多分高知におけるファミレスの先駆けだったと思う。私にとって初めてのファミレス体験が、そのベアーズだった。我が家はレジャーのたびに握り飯を持参する優等生一家(?)。たまの外食といえばうどん屋、良くてラーメン屋。くるくる回るお寿司なんて、盆と正月しか入れなかった。そんな我らが何を思ってか、ベアーズに入った。当時私は6歳。そこで口にしたコンソメスープとフライドポテトに衝撃を受けたことを、今でも鮮明に覚えている。この世にこんな美味しいモノがあるなんて、まさに神!以来コンソメスープとフライドポテトは、私の大好物になった。

 ファミレスは、私にとって憧れの世界でもあった。当時私が読んでいた写真絵本に、レストランを紹介したページがあったのだが。とある見開きのページに私は目を奪われた。可愛い制服を着たウエイトレスのお姉さんと、彼女が持つトレー。そして、きつね色にふんわりと焼かれたツヤツヤのロールパン!今にも香ばしい香りが漂ってきそうで、何度印刷面に鼻を近づけてにおいをかいだことか。レストランのお姉さんになれば、毎日このロールパンが食べられるんだ。幼い私はそう思い込み、「将来はレストランのお姉さんになる!」と固く心に誓ったのであった。果たして大人になった今。ロールパンのように身体が膨らんだだけで、可愛い制服に袖を通すことなくアラフォーを迎えた。

 あと何回、家族でファミレスに行けるだろう。子どもの頃の食事の思い出は、いつまでも鮮烈に残っている。人と食べる時間を共有することは、ただ食物を摂取するだけではない、大切なコミュニケーションなんだなとしみじみ思う。食べる幸せを、これからも誰かと分かち合いたい。




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