エピソード53:福引き

  お正月のことでも書こうかと思っていたら、はや1月も半ば。1月は行く、2月は逃げる、3月は去るとはよく言ったものだ。このまま4月は疾走、5月はGO、ろくでもない6月が七面倒に過ぎ、八彩帖は九分九厘十把一絡げだろう(意味不明)。

 年末年始最大のイベントはなんと言っても、福引き・福袋などの運試しにつきる。射幸心をあおりまくるこれらの誘惑、お祭り大好きのワタシが引っかからないはずはない。くだらない「鬱袋」を勢いで買っては後悔し、来年は絶対買わんと心に誓うまでが毎年のお約束。とはいえ、風呂敷のようにデカいチラシに散りばめられた「福袋」「ラッキーバッグ」「HAPPY BAG」の文字列を見ると、ムズムズとした購買欲が内側からわきあがってくる。こりゃもうビョーキですな。

 ところで我がT須地区の中心に、T須小学校がある。かつてその隣に「T須城」という、お酒のディスカウントショップがあったのを覚えている人はいるだろうか。「たんたんたぬきのT須城~」という、やたらお色気タップリのCMソングを流していたことで有名(?)だ。そのT須城、お正月の福引き大会が結構豪華だった。その日は朝早くから店の横に行列が出来る。私たちも一家総出で列に並んだ。近隣住民だけでなく、遠くからも人が押し寄せていたようだ。ある年にゃ中学校の国語教師と遭遇した。普段教壇で偉そうにしゃべる先生も人の子よのう、なんて思ったものだ。ちなみに私が当てた景品で1番良かったのは、ママチャリである。あれはしばらく愛用したぞ。

 そんなT須城も数年後、全国チェーンの酒店に押されて無くなった。そこで目をつけたのが、K島のフ◯グランである。ここもすこぶる景品が良かった。五千円で1回ガラガラを回せるのだが、ハズレても五千円分の商品券と紅白まんじゅうが貰えた。寒さに震えながら整理券目当ての行列に並ぶのは、しばらく正月の恒例行事だった。母がニンテンドーWiiを引き当て、喜びの記念写真まで撮ったこともある。その年は豊作だったのか、他にもお米なんかを当てている。しかしその後フ◯グランも景品がお粗末になっていき、次第に足が遠のいて行った。今はもう家族全員年を取り、行列に並ぶ元気すら無い。



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