エピソード50:ハイパープラザ

  NコクスーパーT須店が、まだハイパープラザと呼ばれていた頃のお話。当時そこは、地域で一番大きいショッピングセンターだった。子どもの私にとっては、今のイ◯ン並みに巨大な商業施設だった。まず広い駐車場。夏休みになると、お化け屋敷など数々のイベントが催された。時々ドサ周りの有名人(?)も来て、ステージショーなどが行われていた。これらはまだ昭和時代のことである。あの頃はどこもかしこも活気があった。

 店舗に入ると、スーパーの他にたくさんのテナントが入っていた。コンビニで売っているようなフィルムに包まれたおにぎりを見たのは、ハイパーのお惣菜コーナーが初めて。調味料を売っている一角は、見たこともないような名前のハーブやスパイスの見本が置いてあり、いくら眺めても飽きなかった。コーヒーはその場で豆を挽ける仕組みで、良い香りが漂っていた。

 店の中心には小僧寿し、軽食コーナーがあった。手巻き寿司は誕生日など特別な日に買ってもらうのがお約束。軽食コーナーには、中に噴水が上がるジュースの機械(超昭和!)が置いてあり、揚げたてのフライドポテトの香りが食欲をそそった。パネルに書かれたメニュー表がなんとも都会的で、年上の子達が自由に飲食しているのがとてもうらやましかった。

 その隣に「ファンシーショップ ゆめ」という店があった。子どもにとってまさに夢の世界である。入り口にカップ詰め放題いくらのお菓子が、色鮮やかにディスプレイされていた。あのお菓子を思う存分買いたいと、通りかかるたびに口の中が唾でいっぱいになった。店の中はサンリオなどの可愛いキャラクターグッズがいっぱい。T須地区の子は皆、友達の誕生日プレゼントなんかはそこで買ってたと思う。

 ハイパープラザが改装されて20年あまり。テナントは全て撤退してしまった。今、店の隅で背中を丸め、フィルムのおにぎりを食べている老人を見ると、私が見ていたキラキラしたハイパープラザは本当に幻になってしまったのだと、寂しくなる。




コメント

  1. オープンした時は室戸から買い物にきてましたからねぇ

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