エピソード42:弁当

 秋の行楽シーズンが来た。雲一つない真っ青な空、天高く馬もワタシも肥ゆる秋。食欲の秋がやって来た。そこで思い出すのが、かの有名なキャッチフレーズ「24時間眠らない」を生み出した、お弁当&コンビニエンス「くいしんぼK月」である。子どもの頃は漢字の「K月」が読めなかったもんだ(どうでもいい)。ちなみにチキン南蛮はオーロラソースという高知県民の常識を作ったのは、このK月ですよ(こりゃタメになる)。もっとも私自身はK月のお弁当を買った記憶がほとんどない。他所で弁当を買わない主義(?)の家庭で育ったせいだ。なんだかもったいないなぁ。

 食に興味のない母親を持つと、学生時代の弁当の思い出は苦いものばかりになる。忘れもしない、小学5年生の夏季合宿。当時は500mlのペットボトルなんか無かったから、水筒で使い捨てになるようなものを準備するのはとても難しかった。そこで母が用意したのが、なんと薬液バッグ!すこぶる嫌だったが、喉の渇きには勝てない。しぶしぶクラスメイトの前で飲んでいると、ある男子が言った。「そりゃシビンか?」その時点で手に持ったナニはシビンにしか見えなくなり、後の3日をお茶無しで過ごすハメになった(怒)。

 またある時は何を思ってか、タテ30cm×ヨコ15cmくらいの馬鹿でかいプラスチック容器に弁当を詰めてきた。自転車通学の私。当然のことながら学校に着く頃にはまんべんなくシェイクされ、フタを開けると得体の知れない茶色の物体が異様な臭いを放っている。泣く泣くお箸ですくって食べていると、追い打ちをかけてクラスの男子が「わはは、ドカベン!」などと笑うから(略)。

 今の子ども達はつくづく恵まれていると思う。冷凍食品の種類も増え、味も格段に良くなった。可愛いキャラ弁を作るグッズも数え切れないほどある。私みたいに難儀な思いをすることはないだろう。しかしそれでも、母の弁当は私にとってかけがえのない宝であることに変わりはない。



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