エピソード33:よさこい

   例年ならよさこい祭りで盛り上がる頃であろう高知。踊り大好き&お祭り大好き人間の私は、もちろんよさこいが大好きである。物心つく前からよさこい節ががかかると、勝手に手足が動いていたという。高知市に限ることなのかどうか、幼稚園や小学校の運動会でよさこいを披露するのは恒例行事だった。

 だがいつの間にやらよさこいは、ヨサコイやらYOSAKOIなどというものに取って変わられてしまった。断っておくが、私はカタカナのヨサコイやアルファベットのYOSAKOIは、背中にゾゾ虫が走るほど苦手である。ファンの方には悪いけど、突っ込まずにはいられない。なんだよあの一昔前の衣装みたいな珍奇なキモノに変なメイクは⁉︎妙ちくりんにアレンジするなら正調をマスターしてからおととい来やがれい‼︎

 高知のよさこいの良いところは、何でもありの中にも暗黙の了解や不文律が存在し、無秩序のようで調和しているところである。矛盾しているようだが、その極めて微妙な清濁併せ持つバランスの上に成り立っており、これはもう高知という土地柄・人柄・歴史が作り上げて来たもので他者には到底真似できない。小難しく書いたが、入賞常連チームの美しい舞も見応えがあるし、某K知大学のN冥寮とN章の「二大汚対決」も楽しみだという単純なことである。ボロボロの軽トラにブルーシートで作られたオンボロの地方車の後ろに続く、煮染めたような色の法被に身を包んだむくつけき男達の群れ。こちらまで何かが臭ってきそうだ。県外観光客が引き気味に見ている中でも独自のスタイルを崩さない。うん、好きだ♪

 よさこいが終わると、急激に秋の気配を感じるようになる。空の色も薄くなり、胸躍らせた夏が遠ざかって行く。



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