エピソード34:怖い話

   毎年お盆になると「心霊番組」の特集が放送されるのを、子どもの私は楽しみにしていた。今はどこかの団体(?)がうるさいのか、ほとんど放映されなくなったのが惜しまれる。心霊番組といえども、オバケや幽霊の類から心霊写真に呪いのビデオ、はては宇宙人解剖フィルムまで何でもありだったような気がする。「水子」とか「地縛霊」に「霊能者」なんて言葉は、全て「あなたの知らない世界」で習った。真っ昼間から弟と毛布被って見たものだ。

 私自身はいわゆる「見える人」ではない。霊感のレの字も感じないタイプだ。けれどその手の話は大好きで、怖いくせに恐ろしげな表紙の心霊写真集を買ったこともある。もっとも学校に持って行ったらクラスメイトが皆こぞって読みたがり、返ってきた頃にはボロボロになっていた。大人になっても怖い話は好きで、陰謀論からカルト宗教、超常現象などのジャンルはほとんど読んだ。そんなのを熱心に読んでるワタシの方が、オバケよりよっぽど怖いと思う。

 そんな私が現実世界で怖いと思う目に遭ったのが、一度だけある。関西某所でとある講座を受けた時のこと。どうも途中から内容が怪しくなってきた。講座終了後、数々の矛盾点を質疑しようと手を挙げると、挙手したのは私だけ。完全にアウェー状態の私は、要するに「教祖さまと信者さん達」に囲まれていたのだ。

 なんとかその場をやり過ごし、教室を出て一息つこうとお手洗いへ。用を足し出てきた私を待ち受けていたのは、先ほどの講座の面々。しかも教祖さま付き!エスカレーターに乗って帰ろうとする私を取り囲み、食事に誘う彼ら。逆らえずなぜかそのまま密室になるエレベーターに乗せられてしまった。その後は…。まぁ無事に帰ってきたから今この文章を書いている訳で。あの時ばかりは、自分にも「不思議な力」があるから守られたのでは?と身にしみて感じている。



コメント

このブログの人気の投稿

エピソード104:取材

エピソード99:県営渡船と御畳瀬の町

エピソード103:夢あれこれ