エピソード7:雨

 もうすぐ雨の季節がやって来る。大正生まれの祖母は、梅雨のことを「ながせ」と呼んでいた。古語が由来の土佐弁らしいが、なんとも風流な響きの言葉である。

 「高知の雨は下から降る」なんていう笑い話(?)があるけれど、ちょっと強めの雨が降る時には傘などまるで役に立たない。以前県外の知人を車に乗せた時の話。駐車場から店に入るのに傘を差さないまま走っていると、「高知の人は雨でも傘を差さないんですか?」と不思議がられたことがある。いやいや、車のドアを開ける→傘を出す→その傘を差す→ドアを閉める、なんていう一連の動作の内にずぶ濡れになってしまうからですよ。だったら車からダッシュで店へ駆け込んだ方が、よっぽど濡れない。あ、足元は滑るので気をつけるように。

 雨を表す擬音語には「しとしと」「ザーザー」とか色々あるけれど、「ダーッ」とか「ドドオーッ」も加えてほしい(もはや雨音とも思えぬ)。水害には慣れっこの高知県民。雨足が激しければ激しいほどワクワクしてしまうのはなぜだろう(不謹慎極まりない)。おっと、くれぐれも増水した川やら田んぼやらの様子は見に行かないでくださいね。

 急なスコール(!)に見舞われても、空が明るければすぐ止むことは体に染み付いている。少し雨宿りすればほら、鳥の声が聞こえてきた。そうすればきっと、太陽の光が差してくるはず。





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